温厚で面倒見のよい上司

温厚で面倒見のよい上司

私たちが、日常接する人々には、それぞれ個性がある。正義感の強い人、行動力のある人、好奇心の旺盛な人、社交的な人……。中には、行動力、洞察力、忍耐力など、あなたが″とてもまねができない″と敬服するすばらしい能力をもっている人もいる。こうした個性や人にまねができないような能力も、本質から生み出されたものであることが多い。しかし、人は誰でも魅力や能力と同時に短所や欠点ももっている。″なぜ、あんなに非難めいた口調でしゃべるんだろう?″″なぜこんな簡単な決断を下すことをためらうんだろう?″″なぜあんなに周囲の顔色ばかりうかがっているんだろう?″。職場で上司や同僚、部下の言動を見れば、あなたは、いくつもの問題点を指摘することができるだろう。

 

しかもそうした問題点は、苦境に置かれたときほど、強調される傾向がある。ふだんは包容力があり、温厚で面倒見のよい上司が、プロジエクトの先行きに不安感が出てくるにつれ、部下のあら探しをはじめ、責任転嫁としか思えないような言動に終始するようになるといったケ―スは、よく見聞きする。心にゆとりのあるとき、私たちはさまざまな行動をとることができる。仕事が順調で職場の人間関係が好ましい状態で、健康や私生活にも問題がないなら、他者を思いやることも、広い視野からものを見ることも、新しい価値を受け容れることも容易なのだ。しかし苦境に陥った場合、その行動や心情は、非常に限定されたものになる。しかも、その行動や心情は、往々にして好ましくないものになりやすい。そして苦境に立たされたときの姿の方が、より本質を反映しやすいのだ。